- 田植え 〔たうえ〕
- いったん別のところで苗に育てた稲を、水田に移植する作業を「田植え」と呼びます。
日本の稲作は、水田に直接種をまく、直播栽培〔ちょくはんさいばい〕ではなく、移植栽培によるものがほとんどですので、田植の作業が必要になります。
伝統的な稲作では、水田の一部を区画した「苗代」に種をまき、育てた苗を手で植えていましたが、1960年代に田植機が開発されてからは、育苗箱で育てた苗を、田植機で植える方法が主流になりました。このおかげで農家の田植のための労働は大幅に軽減されました。
- 棚田 〔たなだ〕
- 傾斜地に階段状に作られた水田のことです。農林水産省では、傾斜20分の1(水平方向に20m進んだときに1m高くなる傾斜)以上の土地にある水田を棚田と定義しています。
棚田は、雨水の保水・貯留による洪水防止、水源のかん養、多様な動植物や 貴重な植物の生息空間や美しい景観の提供などの様々な役割を果たしています。
しかし、平地と比べて生産条件が不利であるため、近年は耕作放棄される棚田が増えてきています。
これに対し、各地で棚田を守る運動が活発になり、全国棚田協議会や棚田学会などが組織され、また、都会の人に棚田を貸し出す「棚田のオーナー制度」なども実施されています。
農林水産省では、棚田の維持・保全一環として、国内の代表的な棚田を1999年に「日本の棚田百選」として認定しています。
- 着色粒 〔ちゃくしょくりゅう〕
- カビ、菌などが米粒の表面や内部に繁殖したことによって、粒の表面の全部または一部が黄、茶、黒色などに変色している米粒のことです。
登熟中の害虫による食害が原因となる場合が多く、カメムシによるものは「斑点米」とも呼ばれます。
米穀検査では、被害粒、死米、着色粒、異種穀粒・異物混入合わせて15%以上の玄米は、規格外に判別されます。着色粒は中でも等級を決定づける重要な要因になります。
←カメムシの被害による斑点米
- 茶米 〔ちゃまい〕
- 病原菌による着色粒のひとつです。生育中に菌が米粒の果皮に繁殖して粒の表面が褐色になったものを指します。
茶米は糠層〔ぬかそう〕だけが着色しており、胚乳部は汚染されていないため、精米時に取り除かれて整粒として扱われることが多いのですが、精米しても粒色が鈍くなるので、お米の品質を下げる原因になります。
- 低アミロース米 〔ていあみろーすまい〕
- 粳米〔うるちまい〕の中で、デンプンの成分の一つである、アミロースの含まれる割合が低いお米の種類を指します。
お米のでんぷんはアミロースとアミロペクチンからなっており、一般的なうるち米では、15~35%がアミロースです。これに対して低アミロース米のアミロースの割合は5~15%です。
このようなお米は炊飯すると、粘りの強い、冷めても硬くなりにくいご飯になります。
代表的な品種には、「ミルキークイーン」「スノーパール」「柔小町〔やわらこまち〕」などがあります。
- 登熟 〔とうじゅく〕
- 穀物の種子が次第に発育・肥大することを登熟と言います。
稲穂が出て、開花・受粉すると登熟を開始します。稲の場合は、開花から約40~50日間が登熟期です。
稲が光合成によりデンプンを生産し、胚乳に蓄えていくことにより、籾〔もみ〕が成長し、お米ができます。
- 特別栽培米 〔とくべつさいばいまい〕
- 栽培時の農薬・化学肥料の使用節減に関する農林水産省の基準に沿って栽培されたお米です。
農林水産省では、その農産物が生産された地域の慣行レベル(各地域の慣行的に行われている節減対象農薬及び化学肥料の使用状況)に比べて、「節減対象農薬の使用回数が50%以下」「化学肥料の窒素成分量が50%以下」で栽培された農産物を特別栽培農産物と定めています。この基準に基づいて栽培された米が、特別栽培米です。但し、「節減対象農薬」とは、「化学合成農薬」から「有機農産物のJAS規格で使用可能な農薬」を除外したものです。
以前は、「無農薬」「減化学肥料」などの表示に関する基準が明確でなかったので、生産者や販売事業者がそれぞれの独自の判断でこれらの文言を使用しており、消費者に混乱を引き起こしていました。この問題を整理するために、農林水産省は、2002年10月1日に「特別栽培農産物に係る表示ガイドライン」制定し、普及を図っています。これにより、「無農薬栽培」「無化学肥料栽培」「減農薬栽培」「減化学肥料栽培」等の表示は禁止されるようになりました。
このガイドラインには法的拘束力はありませんが、生産者や事業者がこれを遵守することは、消費者からの信頼を得ることにつながります。また、化学合成された農薬や肥料の使用を減らすことは、自然環境への負荷を減らし、農業の自然循環機能を促進し、環境の維持・改善につながります。
●農林水産省|特別栽培農産物に係る表示ガイドライン